青色LED訴訟が和解 発明対価など8億4千万円で決着 [朝日新聞]
2005年1月11日 時事ニュース
01月11日付 朝日新聞の報道「青色LED訴訟が和解 発明対価など8億4千万円で決着 」へのコメント:ようやく決着したか。僕らがゼミで扱っていたときはまだ地裁の中間判決段階だった。200億から8.4億。この事案の特殊性から貢献度5%は低いのではないかと思う。もっとも一般的には高額の対価は企業に酷だと考えるようになった。一番の理由は、数多くの特許取得に至らない発明のリスクを一つの発明で補う事を視野に入れて会社を経営しているのが普通だと思うからだ。うーん、昔自分がどんな理由で発明者よりだったか思い出せない・・・。
青色発光ダイオード(LED)の発明対価をめぐり、発明者で米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の中村修二氏(50)が、元勤務先の日亜化学工業(徳島県阿南市)を相手に約200億円の支払いを求めた訴訟の和解が11日、控訴審の東京高裁(佐藤久夫裁判長)で成立した。同社側が発明対価約6億円を含む計約8億4000万円を支払う内容。「世紀の発明」と言われた青色LEDの発明対価は一審判決が認めた超高額の約600億円から一転、100分の1の額で決着した。一方、個人が起こした発明対価をめぐる訴訟としては過去最高の和解額ともなった。
和解条項によると、発明の対価は6億857万円とし、遅延損害金2億3534万円を含む計8億4391万円を同社が支払う。
高裁は昨年12月、「青色発光ダイオードに限らず、中村氏のすべての職務発明について将来の紛争を含めた全面的な解決を図ることが双方にとって極めて重要な意義がある」として和解を勧告。その際、発明対価について「従業員への動機付けとして十分な額であると同時に、企業が厳しい経済情勢と国際的な競争に打ち勝ち、発展していくことが可能なものであるべきだ」とし、経営面も重視する考えを示した。そのうえで、一審が50%とした中村氏の貢献度について、日立製作所や味の素の元社員が起こした訴訟の判例などを踏まえて5%と判断。今回の決着額を提案していた。
中村氏は「納得していないが本来の研究開発の世界に戻る」とし、日亜側も「業務に専念する状況をつくることを重視した」としている。
提訴は01年8月。04年1月の一審・東京地裁判決は、青色LEDの発明による日亜化学工業の独占利益を1208億円、中村氏の貢献度を50%として発明対価を604億円と算定し、請求額の200億円全額の支払いを命じた。控訴審で、日亜側は「発明は青色LEDの製造に不可欠な基本特許ではないうえ、一審判決は社の売上高を過大に見積もっている」と主張。中村氏側は「青色LEDの開発は中村氏の発明があってこそ可能だった。売上高の評価も正当だ」と反論していた。
発明対価をめぐっては04年11月、「味の素」の人工甘味料「アスパルテーム」に関する技術を開発した元社員が起こしていた訴訟で、味の素が1億5000万円を支払うことで和解が成立している。
◇
日亜化学工業の小川英治社長は11日、和解が成立したことを受け、「当社の主張をほぼ裁判所にご理解いただけたと考えている。特に青色LEDの発明が中村氏一人ではなく、多くの人々の努力と工夫のたまものであることを理解いただいた点は大きな成果と考える」とのコメントを出した。
◇
中村修二教授の弁護団は和解成立後に記者会見し、「今回の和解内容に全く納得していないが、弁護士の意見に従って受諾することにした。発明の対価についてのバトンを後続のランナーである一人ひとりの技術者に託し、本来の研究開発の世界に戻ります」とする中村教授の声明を読み上げた。
今回の訴訟の意義について、弁護団の升永英俊氏は「会社側の支払いがわずか2万円という『ごほうび』だったのを8億4千万円に転換した。この訴訟は滅私奉公の企業社会での個の確立の大切さを問い、知財立国として生きていく日本の産業振興の目的にも沿う」と述べた。
弁護団によると、教授は改めて12日に記者会見する予定だという。
青色発光ダイオード(LED)の発明対価をめぐり、発明者で米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の中村修二氏(50)が、元勤務先の日亜化学工業(徳島県阿南市)を相手に約200億円の支払いを求めた訴訟の和解が11日、控訴審の東京高裁(佐藤久夫裁判長)で成立した。同社側が発明対価約6億円を含む計約8億4000万円を支払う内容。「世紀の発明」と言われた青色LEDの発明対価は一審判決が認めた超高額の約600億円から一転、100分の1の額で決着した。一方、個人が起こした発明対価をめぐる訴訟としては過去最高の和解額ともなった。
和解条項によると、発明の対価は6億857万円とし、遅延損害金2億3534万円を含む計8億4391万円を同社が支払う。
高裁は昨年12月、「青色発光ダイオードに限らず、中村氏のすべての職務発明について将来の紛争を含めた全面的な解決を図ることが双方にとって極めて重要な意義がある」として和解を勧告。その際、発明対価について「従業員への動機付けとして十分な額であると同時に、企業が厳しい経済情勢と国際的な競争に打ち勝ち、発展していくことが可能なものであるべきだ」とし、経営面も重視する考えを示した。そのうえで、一審が50%とした中村氏の貢献度について、日立製作所や味の素の元社員が起こした訴訟の判例などを踏まえて5%と判断。今回の決着額を提案していた。
中村氏は「納得していないが本来の研究開発の世界に戻る」とし、日亜側も「業務に専念する状況をつくることを重視した」としている。
提訴は01年8月。04年1月の一審・東京地裁判決は、青色LEDの発明による日亜化学工業の独占利益を1208億円、中村氏の貢献度を50%として発明対価を604億円と算定し、請求額の200億円全額の支払いを命じた。控訴審で、日亜側は「発明は青色LEDの製造に不可欠な基本特許ではないうえ、一審判決は社の売上高を過大に見積もっている」と主張。中村氏側は「青色LEDの開発は中村氏の発明があってこそ可能だった。売上高の評価も正当だ」と反論していた。
発明対価をめぐっては04年11月、「味の素」の人工甘味料「アスパルテーム」に関する技術を開発した元社員が起こしていた訴訟で、味の素が1億5000万円を支払うことで和解が成立している。
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日亜化学工業の小川英治社長は11日、和解が成立したことを受け、「当社の主張をほぼ裁判所にご理解いただけたと考えている。特に青色LEDの発明が中村氏一人ではなく、多くの人々の努力と工夫のたまものであることを理解いただいた点は大きな成果と考える」とのコメントを出した。
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中村修二教授の弁護団は和解成立後に記者会見し、「今回の和解内容に全く納得していないが、弁護士の意見に従って受諾することにした。発明の対価についてのバトンを後続のランナーである一人ひとりの技術者に託し、本来の研究開発の世界に戻ります」とする中村教授の声明を読み上げた。
今回の訴訟の意義について、弁護団の升永英俊氏は「会社側の支払いがわずか2万円という『ごほうび』だったのを8億4千万円に転換した。この訴訟は滅私奉公の企業社会での個の確立の大切さを問い、知財立国として生きていく日本の産業振興の目的にも沿う」と述べた。
弁護団によると、教授は改めて12日に記者会見する予定だという。
憲法改正
2005年1月25日憲法改正の動きがとても気になる。感覚的に嫌な感じがする。改正する事自体に反対するわけではないが、改悪することには断固反対したい。リアリストでなければならない政治家の改正への動きも理解できなくはない。しかし、なによりも権力を持つものが詭弁的ねじ曲げによって実質的な意味での戦争への道を歩む危険を増やすような改正はあって欲しくない。戦争で死ぬのは政治家でも経済界の有力者でもなく、庶民であるわれわれとその家族なのだ。権力は常に厳しく締め付けておくくらいで調度よいと思う。たとえ少しでも緩める方に動かすと権力を振るおうとする力と相まって大きく緩んでしまうだろう。
権力分立の問題の中にモンテスキューのこんな言葉が出てきた。「すべて権力を持つものはそれを濫用しがちである。かれは極限までその権力を用いる。それは不断の経験が示すところだ。」
権力分立の問題の中にモンテスキューのこんな言葉が出てきた。「すべて権力を持つものはそれを濫用しがちである。かれは極限までその権力を用いる。それは不断の経験が示すところだ。」
ホームレス
2005年1月26日ソウルでホームレスの暴動が起きたというニュースを報道ステーションで見た。日本のホームレスと公権力との衝突の映像も流された。「虫けらじゃないんだよ、俺たちは」という言葉。わかるようなわからないような・・・・。
ホームレスになるべくしてなった怠惰な人と時代の流れに飲み込まれホームレスになることを余儀なくされた人。ホームレス二分論。他人事ではない。
ホームレスになるべくしてなった怠惰な人と時代の流れに飲み込まれホームレスになることを余儀なくされた人。ホームレス二分論。他人事ではない。
外国籍職員訴訟、昇任試験拒否は合憲 都側が逆転勝訴 [朝日新聞]
2005年1月26日 時事ニュース
01月26日付 ニュース 社会の報道「外国籍職員訴訟、昇任試験拒否は合憲 都側が逆転勝訴 [朝日新聞]」へのコメント:管理職登用に関して国民主権原理に照らすと問題があることは理解できるとしても、一律禁止は妥当でないと思う。高裁の判断が妥当ったのではないだろうか。判決文については↓
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/f3cd7fd4599ab8af49256f9500263dc3?OpenDocument
日本国籍がないことを理由に東京都が管理職試験の受験を拒否したことが憲法の保障した法の下の平等に違反するかどうかが争われた裁判の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)は26日、「重要な決定権を持つ管理職への外国人の就任は日本の法体系の下で想定されておらず、憲法に反しない」との初判断を示した。その上で、都に40万円の支払いを命じた二審判決を破棄し、原告の請求を退ける逆転判決を言い渡した。原告側の敗訴が確定した。
原告は、都の保健師で在日韓国人2世の女性、鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さん(54)。都に対して、慰謝料の支払いなどを求めていた。外国籍の人の地方公務員への採用や管理職登用の動きは全国で広がりを見せる一方、採用職種や昇進を制限する自治体もなお多数を占めている。判決はこうした制限を結果的に追認し、自治体の裁量を幅広く認めるものとなった。
多数意見は13人の裁判官による。これに対し、2人の裁判官がそれぞれ、「外国籍の職員から管理職への受験機会を一律に奪うのは違憲だ」と反対意見を表明した。
外国籍の人が地方自治体の公務員になれるかどうかについて法律には規定がなく、公務就任の範囲をどこまで認めるかが争点となった。
多数意見はまず、「職員として採用した外国人を国籍を理由として勤務条件で差別をしてはならないが、合理的な理由があれば日本人と異なる扱いをしても憲法には違反しない」と述べた。
今回の受験拒否のケースが合理的かどうかを判断するうえで多数意見は、地方公務員の中でも住民の権利義務を決めたり、重要な政策に関する決定をしたりするような仕事をする幹部職員を「公権力行使等地方公務員」と分類。これについて「国民主権の原理から、外国人の就任は想定されていない」という初めての判断を示した。
そのうえで、こうした幹部職員になるために必要な経験を積ませることを目的とした管理職の任用制度を自治体が採用している場合、外国籍公務員を登用しないようにしたとしても合理的な区別であり、憲法が保障した法の下の平等には違反しない、と結論づけた。
これに対し、滝井繁男裁判官は「都の職員に日本国籍を要件とする職があるとしても、一律に外国人を排除するのは相当でなく違憲だ」と反対意見を表明した。
泉徳治裁判官も「在日韓国・朝鮮人ら特別永住者は地方自治の担い手で、自己実現の機会を求めたいという意思は十分に尊重されるべきだ。権利制限にはより厳格であるべきなのに、今回の受験拒否は合理的な範囲を超えたもので法の下の平等に反する」と述べた。
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/f3cd7fd4599ab8af49256f9500263dc3?OpenDocument
日本国籍がないことを理由に東京都が管理職試験の受験を拒否したことが憲法の保障した法の下の平等に違反するかどうかが争われた裁判の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)は26日、「重要な決定権を持つ管理職への外国人の就任は日本の法体系の下で想定されておらず、憲法に反しない」との初判断を示した。その上で、都に40万円の支払いを命じた二審判決を破棄し、原告の請求を退ける逆転判決を言い渡した。原告側の敗訴が確定した。
原告は、都の保健師で在日韓国人2世の女性、鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さん(54)。都に対して、慰謝料の支払いなどを求めていた。外国籍の人の地方公務員への採用や管理職登用の動きは全国で広がりを見せる一方、採用職種や昇進を制限する自治体もなお多数を占めている。判決はこうした制限を結果的に追認し、自治体の裁量を幅広く認めるものとなった。
多数意見は13人の裁判官による。これに対し、2人の裁判官がそれぞれ、「外国籍の職員から管理職への受験機会を一律に奪うのは違憲だ」と反対意見を表明した。
外国籍の人が地方自治体の公務員になれるかどうかについて法律には規定がなく、公務就任の範囲をどこまで認めるかが争点となった。
多数意見はまず、「職員として採用した外国人を国籍を理由として勤務条件で差別をしてはならないが、合理的な理由があれば日本人と異なる扱いをしても憲法には違反しない」と述べた。
今回の受験拒否のケースが合理的かどうかを判断するうえで多数意見は、地方公務員の中でも住民の権利義務を決めたり、重要な政策に関する決定をしたりするような仕事をする幹部職員を「公権力行使等地方公務員」と分類。これについて「国民主権の原理から、外国人の就任は想定されていない」という初めての判断を示した。
そのうえで、こうした幹部職員になるために必要な経験を積ませることを目的とした管理職の任用制度を自治体が採用している場合、外国籍公務員を登用しないようにしたとしても合理的な区別であり、憲法が保障した法の下の平等には違反しない、と結論づけた。
これに対し、滝井繁男裁判官は「都の職員に日本国籍を要件とする職があるとしても、一律に外国人を排除するのは相当でなく違憲だ」と反対意見を表明した。
泉徳治裁判官も「在日韓国・朝鮮人ら特別永住者は地方自治の担い手で、自己実現の機会を求めたいという意思は十分に尊重されるべきだ。権利制限にはより厳格であるべきなのに、今回の受験拒否は合理的な範囲を超えたもので法の下の平等に反する」と述べた。